HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はインフルエンザと似ている

2020年02月18日

エイズは1980年代に初めて患者が報告されて、数年の研究をへて原因ウイルスが同定された性行為感染症のひとつです。感染経路には不潔な注射ばりの使いまわしや、血友病患者に投与する血液製剤へのウイルス混入などが存在していますが、これらの感染経路は対策がとられたことでリスクは低下し、現在ではそれほど警戒をする必要性はありません。しかし現在においてもとりわけ感染リスクが高い感染経路として認識されているのは性行為になります。この点はいくつかの注釈が必要と言えます。他の性行為感染症においては唾液などのキスなどに代表される性的接触行為もリスク要因として重要ですが、エイズにおいてはさほどのリスクは存在しないとされています。

また混合されがちなのが、エイズとHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症のとの違いです。HIVに感染すると、原因となった性行為のあと二週間ほどの潜伏期間を経て、インフルエンザに類似した症状が出現することがあります。具体的には発熱や全身倦怠感・全身の関節や筋肉痛など、インフルエンザの典型的症状と合致します。もっともインフルエンザのように重症化することはなく、一旦症状は自然消滅しています。しかし無症状状態の継続は決して自然治癒したことを意味するわけではなく、体内では確実に免疫力の低下が続いています。

それと言うのもHIVは人体の免疫細胞に入り込んで、DNAを転写して増殖を繰り返していきます。特に指標になるのが血液中のCD4リンパ球の数にあります。HIVは免疫細胞自体を破壊し低下させてゆきますが、その過程が進行するにしたがってCD4リンパ球の数も減少していきます。免疫力が瓦解し所定の23種類の疾患の一つを発症するとエイズと診断されることになります。CD4リンパ球の数が少ないほど免疫力は低下しえていることを意味するので、その数値をモニタリングし、抗ウイルス治療薬の投与のタイミングを諮るうえでも、CD4リンパ球の状況を把握することが重要です。

エイズを発症すると、健常者ではまず発病することのない特殊な皮膚がんや、カビなどが原因で重篤な肺炎を併発したり、エイズ特有の脳機能障害など多彩な合併症を呈することになります。いずれもエイズに伴う合併症は生命予後や、脳機能障害など深刻な様態に展開する可能性があるので、少なくともHIVの段階で治療を開始することが重要です。主な治療は抗レトロウイルス薬の多剤併用療法ですい。現時点ではウイルスの増殖を抑制できいても根絶することは困難なので、予防策が重要です。
一番効果的な予防策はコンドームの使用にあります。HIVは精液や膣分泌物に粘膜が接触すれば強い感染力を発揮しますが、それ以外のキス程度の性的接触では感染するリスクは無視できる程度です。HIV感染を防止する観点からは、感染力が大きくなる性行為やオーラルセックスなどのときに、コンドームをしようすることでHIV感染を防止することが大切です。