梅毒をそのままにしたら合併症を引き起こし危険

2019年12月18日
薬を飲む男性

日本では以前から4大性病のひとつに数えられてきた梅毒、ペニシリンの登場と衛生環境の向上により患者数が激減していました。しかし最近10年の新規患者数の動向をみると、年間4000人から5000人前後と決して過去の病気ではなく、現在であってもなお警戒するべき性行為感染症であることが明白なのは理解できるでしょう。歴史的偉人のなかにも、梅毒に倒れる有名人が数多く歴史に刻まれているのを見れば、梅毒が決して軽視できない性行為感染症なのは確かです。適切な治療をしない限り現在にあっても、重篤な状況に発展する可能性も否定できません。そこで梅毒の病態を初期・中期・末期に分けて、進行に伴い観察される症状などについて御紹介してみましょう。

梅毒は梅毒トレポネーマを原因菌とする感染症の一種です。感染経路は性行為や感染粘膜との接触をもつ性的接触行為などになります。そのため感染経路にはオーラルセックスやキスなども想定する必要があるのです。原因となる性行為などの後に、2週間程度の潜伏期間を経て初期症状が出現するようになります。初期には性器やその周辺に痛みのないしこりの発生をみます。そのまま放置すると自壊することもありますが、数ヶ月ほど経過すればしこりも消滅してしまいます。初期には足の付け根のリンパ節にしこりを探知することもありますが、同様に自然消滅していきます。感染初期の症状が出現しても一旦消滅します。しかし症状が消滅したからといって自然治癒したわけではなく、梅毒トレポノーマは体内で増殖を繰り返しているのです。初期から数ヶ月から数年ほどの無症状の期間を経て、中期に進行します。中期に特徴的な症状には、手の平や足の裏などにばら色の発疹が見られます。色合いが赤みを帯びているので、バラ疹ともよばれていますが痒みや痛みなどもありません。このような発疹は全身に見られることもあり、原因菌が無症状状態の間でも確実に体内で増殖を続けており感染が全身に波及していることを示唆する徴候です。頭皮に症状が出現すると特有の脱毛などが観察されることも。多くの症例では、遅くとも中期の段階で異変を自覚することが多いようです。
とはいっても、梅毒トレポネーマに感染して中期になっても治療などをしないで放置すると、脳細胞や中枢神経や大血管などに合併症を併発し、認知症や特有の大血管の病変を合併することも。末期には皮膚にもゴム腫とよばれる良性の腫瘍が発生し、顔面に発生すると自壊し著しい容貌の変化につながる場合もあります。
このように梅毒は放置すると確実に、初期から中期をへて末期へと進行するので最終的には生命にかかわる状況に遭遇することになります。しかしペニシリンをはじめとした抗生物質の登場で、現在では完治可能です。たしかに完治可能とは言っても、病気が進行するに従って治療期間は長期化することになるのです。性器の異変は痒みや痛みなどがなくても軽視しないことが大切と言えます。